極甘ストロベリィ
そんなことを考えながら、俺は医薬品の前に設置してあるソファーに腰かける。
「先生はさー、好きな子いる?」
「………は?」
できるだけ普段と同じような口調で聞くと、怪訝そうな顔をされた。
「だからー、好きな子」
「お前、さっき何見たんだよ」
「へ?」
「俺は好きな奴にしかキスしねえ」
意外すぎる発言に、俺は目を丸くしてしまった。
だって明らかに遊んでそうな先生が、そんな“一途発言”をするなんて予想だにしない。
「好きでもねぇ奴と付き合うことはできてもキスはできないだろ。たとえできても、ためらうしな」
「…ためらう、か……」
たしかに、今まで俺は自分からキスしたことがない。
凌ちゃんを除いて。
「なー、先生。俺の昔話聞いてくんない?」
「勝手に話せよ」
やっぱり……
先生っぽくないけど、この学校で一番生徒の話を聞いてくれる人だ。
後ろの棚にもたれかかり、俺は少し目を閉じて口を開く。
今まで俺が何をしてきたか、話すために。