極甘ストロベリィ

その2人を呆然と目で追うと、入っていったのは……



いわゆるラブホ街。

そこでやることっていったら決まってる。




「なあ、ケン…」



「あー…腹減った!俺はそこのファミレス行くから」



「は?」




ケンに話かけた時、ケンはくるりときびすを返して歩き始めた。

え、意味わかんねえ……!

ぼけっと立ち尽くしてしまう俺。


そんな歩き出さない俺に気付いたのか、ケンはぴたりと歩みを止めるとくるりと振り返って口を開いた。




「俺はファミレスにいるから」



「え………」



「男ふたりで行ったらさすがに怖いだろ、宮元さん」




そこまで言うと、ケンは再び向きを変えて歩き出した。

今のケンの言葉の意図はわかる。


――自分で決着をつけてこい



そういうことだろ?


それまでずっと俯いていた俺は、バッと顔をあげて未絵の歩いていった方を見据える。

そしてそのまま未絵のところまで走っていった。


きっと、後悔する。


何もしないでも、今動いても。

だったら、せめて動いていたい。


そう思いながら。

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