極甘ストロベリィ
「、未絵っ!」
「え?」
なんとか追い付いた俺は、大きく声をだす。
息切れが邪魔をしてあまりはっきりはしなかったけど、驚いたように振り返った未絵と目があった。
「……ひで、や…?」
「未絵……」
目を大きく見開いた未絵にフラフラしながら近づくと、未絵は隣の男の後ろに隠れる。
「未絵、そいつ誰?」
「っ、ただの友達!」
男の質問に答える未絵を見て、俺は瞬時に悟った。
ああ、そういうことか。
浮気相手はそいつじゃない。
――俺なんだ
周りの騒音も耳に入ってこない。
まるで、この世にひとりしかいないみたいに。
「ふぅん?で、友達、は一人で何してんの?」
「…え、や、あ…」
素朴な疑問だったんだろう。
その男は、こんな所にひとりでいる俺が不審だったんだ。
未絵を追ってきた、なんて言えない。
こんなことをされても俺は……
まだ未絵が好きだ。
だから
せめて
せめて
いい浮気相手として未絵と別れたかった。