極甘ストロベリィ







「、未絵っ!」



「え?」




なんとか追い付いた俺は、大きく声をだす。

息切れが邪魔をしてあまりはっきりはしなかったけど、驚いたように振り返った未絵と目があった。




「……ひで、や…?」



「未絵……」




目を大きく見開いた未絵にフラフラしながら近づくと、未絵は隣の男の後ろに隠れる。




「未絵、そいつ誰?」



「っ、ただの友達!」




男の質問に答える未絵を見て、俺は瞬時に悟った。

ああ、そういうことか。

浮気相手はそいつじゃない。


――俺なんだ


周りの騒音も耳に入ってこない。

まるで、この世にひとりしかいないみたいに。




「ふぅん?で、友達、は一人で何してんの?」



「…え、や、あ…」




素朴な疑問だったんだろう。

その男は、こんな所にひとりでいる俺が不審だったんだ。


未絵を追ってきた、なんて言えない。


こんなことをされても俺は……


まだ未絵が好きだ。



だから


せめて

せめて


いい浮気相手として未絵と別れたかった。

< 155 / 160 >

この作品をシェア

pagetop