極甘ストロベリィ

ガラッ




教室に入ると、ざわついているクラスメートの目がこちらを向く。




「あ、席あれじゃない?」




凌が指さした方を見ると、たしかに黒板に座席が書かれていた。




「あ、ホントだ……えっと私は……」



「うわっ、私ド真ん中……」



「ドンマイ……私は窓際一番後ろだっ!!やったっ」




窓際の一番後ろは誰もが羨む席。なんたって寝放題!!先生にバレないしっ。



私は意気揚々とその席まで歩いていった───




席につき、机の脇に鞄をかけ、ふと横を見ると、始業の日にも関わらず寝てる奴が。


うわあ……早速寝てる……



でも、幸せそうな寝顔に思わず笑顔になった。



えっと、この人の名前……


パッと黒板を見る。そこに書かれたのは【堤 謙吾】の文字。


なんて読むんだろ………


てい?堤防のてい?




「ていけんご?」



ウムムと悩んでいると、いきなり隣から『違う』と声がした。




「つつみけんご」



「へ?」




隣を見ると、さっきまで寝てた男の子が目を覚ましてこちらを見ていた。

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