極甘ストロベリィ
佳世ちゃんは首を傾げて“おおかみ?”と、えのチャンの言葉を繰り返している。
可愛いんだけど…
「はぁ……」
「堤くん?」
俺が大きくため息をつくと、少し首を傾げたままの佳世ちゃんが下から覗き込んできた。
……やばい。マジで狼になりそう…
「あんの腐れ保健医…」
「榎本先生のこと?」
「そー」
「面白い人だね~」
にっこり笑って佳世ちゃんは言う。
そりゃもう、ひまわりみたいに。
……ていうか
「佳世ちゃん、いつの間に泣き止んだの?」
俺がイスに座って聞くと、佳世ちゃんは手を首筋に持っていって考える素振りを見せた。
手を首筋に持っていくのは、考える時の佳世ちゃんの癖。
「えー……と…ここに来たくらい?」
眠っているえのチャンへの配慮なのか、少し控え目に佳世ちゃんは声を出した。
そんな佳世ちゃんに“ふ~ん”と相槌を打ちながら、近くにあったイスに腰掛けるよう、促す。
スカートのひだを気にしながら佳世ちゃんが座ったのを見て、再び俺は口を開いた。