極甘ストロベリィ
「そんな嘘が通用するとでも?」
俺が苦笑いをしていると、凌ちゃんは笑顔でそう言った。
そりゃ、もう…とびっきりの笑顔で。
そんな凌ちゃんに、さすがの俺もピキッと固まってしまった。
「そんな、嘘だなんて酷いなー」
口から出てくる言葉たちも、棒読みばかりだ。
これが一層、嘘っぽさを醸し出す。
「謙吾?リンチと半殺しどっちがいい?」
……どっちも嫌だっ!!!
にっこりする凌ちゃんが怖くて、ひきつった笑いを浮かべるのが精一杯になった時
突然、閉ざされていたカーテンがシャッと開かれた。
「あー、お前らうっせえ」
中から出てきたのはもちろん、寝起きで少し機嫌の悪そうなえのチャン。
「えのチャンっ!!!」
俺は“天の助け”とばかりに、えのチャンの名前を呼ぶ。
すると、えのチャンは数回まばたきをしてから俺を見た。
そして、驚いたような顔をすると一言。
「お前………何襲われそうになってんだ?」
そう言うと、えのチャンはタバコに火をつけた。