極甘ストロベリィ
反射的にそちらを向くと、ひとりの女の子が入ってきた。
なんだか、雰囲気が佳世ちゃんに似てるなーと思いながら、俺はその子を眺める。
「どうしたー?」
「せんせー、頭痛が痛いー」
頭痛が痛いって何……
この子、馬鹿……?
その女の子の第一印象はその程度だった。
「熱計れ」
「はーい」
えのチャンから体温計を受け取った彼女は、返事をしながら俺の隣のいすに座る。
そして、俺を見てにこっと笑った。
「はじめましてっ」
「へ、あ、うん」
どことなく、声まで佳世ちゃんに似ているその子。
思わず凝視してしまう。
彼女はそんなことに構わず、俺に話しかけてくる。
「ね、何年生っ?」
「2年だけど」
「あ、じゃあ先輩だっ」
「1年なんだ?」
そう聞くと、彼女は大きく頷いた。
そして更に質問を投げかけてくる。
「先輩、名前は?」
「堤、謙吾」
「謙吾先輩ですねっ!あたしは芹沢華恋(セリザワ カレン)です」
芹、沢……?
二人の間を、一筋の風が吹き抜けた気がした。