極甘ストロベリィ

「佳世ちゃん笑いすぎっ」




ピシッと指を指されて、さらに笑いが止まらない私。

とその時、突然開いた教室の扉。


一斉にそちらを見て誰かを確認した瞬間、凌がしおらしくなった。

それはもちろん、それが秀弥くんだから。




「あ、ケンっ!」



「なにー?」



「電卓貸してっ」




私たちの学校は商業科だから、簿記の授業は電卓がないとすごく困る。

電卓ないと問題解くの…大変どころじゃない。

チラリと堤くんを見ると、頭をかきながら一言。




「あー、今日持ってきてないや」



「マジで?あー、やべー!次、松下なんだって」



「うわっ、ドンマイ」




松下先生

それは、最も怖いと言われる簿記の先生。
……私には優しく見えるんだけど。

と、頭を抱えてうずくまった秀弥くんを見て、凌がおずおずと右手をあげた。




「あ、あの、私、電卓あるよ!」




いっぱいいっぱいって感じの凌の一言に、秀弥は目を輝かせて飛び起きた。




「マジでっ!!!?」




凌はこくこく頷きながら電卓を秀弥くんに差し出している。


……ビバ☆青春ってかんじ…!!!

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