極甘ストロベリィ

      □
「……ここって…」




堤くんに手を引かれるままについた先は……



“ZOO”



と書かれた看板が妙に目立っ場所だった。




「うん、動物園」



「や、え、は?」




ぽかんとしている私をよそに、子どもみたいに目をキラキラさせている堤くん。




「あ、入場券買ってくるから待って」



「あ、うん」




そしてその勢いにのまれてる私。

とりあえず、言われた通りに堤くんを待つしかない。




「大人2枚!」



「はい、2000円になります」



「はい」



「ありがとうございます。では、お楽しみくださいね」




少し離れたところにいても聞こえてくる、堤くんと入場券を販売してるお姉さんの声。

それだけ今日は人が少ないということ、かな。


まあ、平日だし…


そう考えていた時、笑顔の堤くんが私に駆け寄ってきた。




「はい、入場券」



「あ、ありがと。いくらだった?」



「お金の心配はしなーい」



「え?でも…っ」



「はい出発!」




戸惑う私をよそに、堤くんは再び私の手を引くと入場門へと足を向けた。

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