極甘ストロベリィ

……今のはなんだ…

いや、マジで。

ぼーっと携帯を眺めていると、真下からひょこっと佳世ちゃんが顔を出した。




「……っ!!!」



「電話終わったの?」



「う、うん……」




そう言うのが精一杯で、言ってすぐにパッと後ろを向いた。

それはもちろん、赤くなった顔を佳世ちゃんに見せないため。

後ろの佳世ちゃんはきっと首を傾げてるはずだ。


…………はぁ…




「…ね、堤くん」



「ん?」




静かな声の佳世ちゃんに、何事だろうかと思いながらそのままの体制で返事をする。




「おなかすいた………」



「………へ…?」




返ってきた答えは、予想していないことで。

思わず振り返ってしまった。


佳世ちゃんは俺を見ると苦笑いをしながらおなかをおさえていた。


そんな佳世ちゃんに拍子抜けして、俺は笑いながら小さく息を吐いた。




「ははっ。かなわないなあ…」




突然笑い出した俺に、佳世ちゃんはきょとんとしている。


そんな些細な仕草も、今の俺の心を鷲掴みにする大きな要素だ。

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