極甘ストロベリィ
しまりなく、口の端があがっていく。
店内は明るくわいわいした空気に染まっていて、そんな表情の俺も浮かずに同化できる。
「……ね、堤くん」
「ん―?」
ある程度食べ終わり、隣の人たちが席を離れた時。
ずっと黙っていた佳世ちゃんが、意を決したように口をひらいた。
「堤くんって……」
「?」
もごもごしながら話す佳世ちゃんを不思議に思って顔を上げると、下唇を噛んで少し悩む佳世ちゃんが目に入る。
「佳世ちゃん?唇、切れちゃうよ?」
「っ、あ、あの………るっ?」
「へ?」
俺の言葉は聞こえてないのか、佳世ちゃんは精一杯という感じで言葉を発した。
でも、その言葉はあまりに小さくて俺に届かない。
「すっ…」
「す?」
「好きなっ、人!いるっ?」
「…………はい?」
聞き返した俺に、ようやく届く佳世ちゃんの声。
てか……
“好きな人”?
そんなの、佳世ちゃんはよく分かってると思うんだけど。