極甘ストロベリィ
私が首を傾げて見上げると、堤くんはグイッと私を立ち上がらせる。
「へ、な、なに?」
「………帰ろ」
目をぱちくりさせている私に向かって発せられたのは、予想しない一言。
帰ろ……?
「え、あ、へ?」
「行きたいとこ、あるから」
まばたきを何回もする私に、堤くんは深く息を吐きながらそう呟くように言う。
スッと手の力が抜けて、腕の中からぴょんとうさぎが出ていく。
それを目で追いかけつつ、私は頷いて答える。
「わかった」
「ありがとっ」
私が頷けば、堤くんがにっこり笑いかけてくる。
それを見てきゅんっと高鳴る正直な胸。
途端に恥ずかしくなって、さっと視線を下に落としてしまった。
「じゃ、出口行こっか」
「うん……ッ!!!?」
視線を落としたまま返事をすると、突然右手にぬくもりを感じた。
驚いて顔をあげると、堤くんが明後日の方向を見ながら私の手を握っていて。
それを認識した途端、顔がかぁっと熱くなるのを感じた。