極甘ストロベリィ
「つ、堤くんっ!」
「ん―?」
「手っ、あの…」
私がアワアワしているのに、堤くんは平然としている。
そんな堤くんを見てたら、ひとりで慌てるのが惨めになってきて黙り込むしかなくなってしまった。
ふたつ繋がれた手を見ながら、ぼんやり考える。
…恥ずかしい、けど…嬉しいんだよね、私。
好きな人と手が繋げて嬉しくないはずがない。
そう考え、私はふっと息を吐きながら堤くんを見上げた。
「……堤くん、行きたいとこってどこ…?」
「行けばわかるよ」
出口が近づいて、私は気になっていたことを堤くんに問う。
行けばわかる、って……
動物園を出ながら首を捻る私。
そんな私を見ても、堤くんは行き場所を教えてくれない。
堤くんに手を引かれながら少しだけ不安に駆られた。
「まー、すぐに着くしね」
「近い、の?」
「うん」
私の不安を感じ取ったのか、堤くんはヒントらしきことを口にする。
でも近場には何もない、と思うんだけど……