君はロックなんか聴かない
「久間くんっていつから音楽やってるの?」
「え、ああ、バンドは中二からやってるよ」
「最初から歌上手かったの?」
「うーんどうだろう、上手いのかな?うーんどうだろう」
「誰がバンド組もうって言ったの?」
「ドラムの大町だよ」
「そうなんだ、元々中良かったの?」
「そうだよ、よくカラオケ行ったりしてたな、多分それで誘ってくれたんだと思うよ、でたまたま花形が楽器なんでも出来て最初はベースやりたいって言ってたんだけど愛川がベースになったんだよな」
「そうなんだ、久間くんは何の為にバンドやってるの?」
「何の為?うーん、そりゃ、楽しからかな」
「プロにはならないの?YouTubeも人気みたいだし」
「え、プロ?ならないよ、俺たちは」
「そうんだ、そんなに才能あるのに勿体ないね」
久間くんは一瞬表情を曇らせた。
「前にも同じこと言われたな」
「え、誰に?」
「石原アイナ」
私は驚いて一瞬沈黙が流れる。
「アイナ?あの?」
「うん、スタジオで怒鳴られたよ」
「え、何で?」
「なんか遊びで音楽やってるのが許せないらしい」
「え、ああ、すごいね」
「いや、本当にあの子は凄いよ、まいったね、花形とは昔は仲良かったらしいけど」
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