君はロックなんか聴かない
出会いの歌
スマホのアラームが部屋中に鳴り響く。布団がはだけて足がとても寒い。しっかりくるまって寝たはずなのに何故だろう。

カーテンからは朝日が漏れている。外からは小鳥のさえずり。うるさくも温かい。
寝ぼけた目を擦りながら手探りでアラームを探す。なかなか見つからない。
やっと見つける。昨晩こんなところに置いただろうか睡眠とは不思議な者だ。
何度もタップしてやっとスマホのアラームを消す。

眠い。

重い体を勢いよく飛び起こす。起き上がるには勢いが大切だ。

大きな欠伸が出た。

目を擦りながらなれない制服に着替える。制服はまだ冷えている。パジャマのまま登校したいものだ。

「おはよう、姫香」

母はテキパキと朝の支度をしている。こういう時母の強さを知ってとても尊敬できる。

「おはよう」

「眠そうだね、あんまり眠れなかった?」

「ううん、そんなことないよ」

下の階のリビングに向かう。父と兄は既に朝食を済ませて出かけたようだ。家族なのに朝が苦手なのは私だけだ。これも不思議な事だ。

私はまだ眠い頭で焼きたてのトーストにかじりつく。寝起きのせいで味はよく分からない。

パンを食べ終えて、それを牛乳で流し込む。

「しっかりしな」

母は呆れながらそう呟く。

「うん」

私は洗面台の前に立って身だしなみを整える。ボサボサの髪にクシを入れる。まだ少し眠い。

少しの憂鬱と希望。

「はいお弁当」

「ありがとう」

母が用意してくれた弁当箱をカバンにしまう。まだ軽いカバン教科書が増えれば重くなるのだろう。



今日もまた学校に向かう。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

玄関を飛び出して、駐輪場にある私の自転車に跨りまた漕ぎ始める。

今日こそはもっと色んな人に話しかけようと強く心に誓う。
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