君はロックなんか聴かない
「え、うん、そう」
「え、いいじゃん、応援するよ、でも多分ライバルは多いよ」
「うん、そうだよね」
「てか今彼女いないのかな?」
「え、いるの?」
「わからないけど、多分モテるよ、彼は」
「そうだよね、ひめちゃん聞いてみてよ」
「え、まあ、いいけど」
「お願い」
白石さんは手を合わせて私にお願いをする。その姿は健気で可愛らしかった。
その後はスタジオに戻ってまたみんなで練習を始めた。その日も予約の時間ギリギリまで弾き続けた。
「じゃあね、また明日!」
「うん、また明日」
白石さんと青田さんは自宅に帰っていった。えみちゃんとはもう少し同じ方向に帰る。
「久間くんと最近どうなの?」
「えみちゃんもその話?」
「私も?」
「さっき白石さんにも同じ話されたよ」
「そうなんだ」
「えみちゃんも久間くん好きなの?」
「え、別に、私はっ別の人」
「え、誰?」
「えー、教えない!ひめちゃんも好きな人教えてくれたいいよ」
「え、何それ、私、今、本当にいないんだけど」
「ええ、本当にいないの?」
「うん、今は特にいないかな、本当に、教えてよ、私の知ってる人?」
「うん、知ってる人」
「え、誰?誰?うちのクラス?」

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