君はロックなんか聴かない
「石倉くん」
「え、ああ、席隣の?」
「意外だった?かっこよくないと思ったでしょ?」
「いや、そんな事ないけど、びっくりはした、みんな恋してるんだね」
「ひめちゃんも好きな人作りなよ、うちのクラスの男子結構平均点高いと思うけどな」
「うーん、あんまり考えた事ないな」
「かっこいいと思う人とか気になる人とかもいないの?」
「うーん、いないなー、青田さんもいるのかな?好きな人」
「青田さん彼氏いるよ」
「え!?」
「なんかバイト先の人らしいよ、写真見せてもらったけど結構イケメンだったよ」
「ええ、そうなんだ、なんかショックだな」
「いや、私もびっくりしたけど、ひめちゃんも彼氏作った方がいいよ、ラブソングも聞いてみたい」
「ラブソングね、確かに私全く思いつかない」
「でしょ!じゃあ、そろそろ私は帰るから、また明日!」
「う、うん、また明日」
私はショックだった。みんな当たり前のように恋してて私だけ置いてけぼりにされている気がした。恋か、本当はみんなと音楽やれてればそれだけで幸せなんだけどな、とぼとぼと帰り道を自転車を転がして家に帰った。
「ただいま」
「お帰りなさい」
私は階段を駆け上がり制服のままベットに沈みこんだ。

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