君はロックなんか聴かない
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いつもの教室まだ少し暖かい気温、文化祭の準備は少しずつ進んでいた。
私はあいつのことが気になってお弁当を忘れたふりをして購買にいった。あいつをいつもと変わらず中庭にベンチで大股で座り焼きそばパンを加えていた。その孤高の姿は凛々しいものがある。
私は缶ジュースを2本買いそいつに話かける。
「文化祭でないの?」
アイナは無言で振り返る。鋭い眼光で睨みつけてくる。
「ロキ文化祭で演奏しないの?」
「もうないよ」
「解散したの?」
「知らないの?飲酒、たばこ、あいつら皆謹慎中、最悪退学もありえるかもしれないけど」
私は黙って缶ジュースを渡した。
「いらない」
「もったいないね、ロキカッコ良かったのに」
「別にいいんだよ、私の事煙たがってたし、あいつらレベル低いくせにろくに練習しないし、どっちにしろ文化祭は出れなっかだろうしね」
もぐもぐとパンを食べる。
「でも来選ロックフェスには絶対出る、あれこの辺じゃ一番でっかいフェスだし業界のスカウトマンくる、そこで私はプロになる、絶対」
ゴホゴホとむせる。私は黙って飲み物を渡す。アイナは黙ってそれをとり飲み込む。
「プロになりたいの?」
「当たり前でしょ?遊びでやってるあなた達とは違うの、私はプロにならないといけないの」
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