君はロックなんか聴かない
「どう、ひめちゃんも彼氏欲しくなった?」えみちゃんが話に割り込む。
「うーん、まあ、出会いがあったらカナー」
「そんなこと言ってたら、いつまでたってもできないよ、ね、青田さん」
「うーん、まあ、ひめちゃんのタイミングでいいんじゃないかな?」
「そうだよ、えみちゃんは告ったりするの?」
「ムリムリムリ!そんなの絶対ムリ!」
「それじゃあ私と一緒じゃん、青田さんはどっちから言ったの?」
「向こうからだよ」
「え、なんて言われたの?」
「え、まあ、好きです、付き合ってくださいって感じで」
「で、で?」
「まあ、よろしくお願いしますって」
「おお、キュンキュンするね」
その後もチャイムが鳴るまでガールズトークで盛り上がった。
✳︎
放課後、私たちはそのままスタジオに向かう。
「青田さんは?」
「今日はバイトだよ」
「そっか」
青田さんはバイトでなかなか練習に参加できない日が続いた。でも彼女はしっかり練習してきて集まった時には全く遅れをとらない、だから心配はいらなかった。私ももう少しバイトをしないと機材が買えそうにない。仕方ないがまた工場に行かないといけないようだ。憂鬱だ。バンドマンはお金がかかる。
< 122 / 140 >

この作品をシェア

pagetop