君はロックなんか聴かない
今日は待ちに待った文化祭ザワザワと最終の準備に取り掛かる。普段はしない屋台のいい香りが学校中をつつむ。
新曲の発表に不安があるがやりきるまでだ。まさかの順番が久間くん達のバンドプラチナの後になっていた。文化祭だからうまさとかは関係ないからこうなったのだろう。緊張してお腹がいたい。
「おはよう」えみちゃんだ、もうすっかり元気になっている。
「おはよう、緊張するね」
「うん、私も緊張して、あんまり寝れなかった」
私たちの２回目のステージ、体育館の方がキャパがでかい、どれくらいの人が来るだろうか不安になる。友達は来てくれるといっていたがどれくらい入るだろう、スカスカじゃ寂しいな。でも今回はどうしても新曲を届けたい人がいる。頑張らないと。
＊
私たちは午後ライブだから朝からクレープの当番だ。慣れない手つきで黙々とクレープを焼いていく。お店では到底出せる代物じゃない、でも売れていく。女子高生はみんな甘い物が好きなのだ。下手だが皆そんなクオリティを求めてない。気づいたら長蛇の列が出来ていた。
「今日ライブですよね！」
背の小さい男の子が話しかけてきた。うちの高校の制服を着ている。
「はい」
「実はこの前のライブ見てファンになったんです！文化祭ライブ楽しみにしてます、もうファン過ぎてファンファンです」
「え、ああ、ありがとうございます」
「じゃあ、また体育館で！」
「え、あ、」
そういって不細工なクレープを買っていってしまった。私たちにもファンがいるんだ。私は驚きで喜びまですぐにはたどり着かなかった。

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