君はロックなんか聴かない
帰りの道は上手く笑えなかった。

私は歌に自信があった。しかし世界は広かった。世界にはもっと上手い人がいることをしった。もっと上手くなりたいと思った。

もっと努力としないといけないと思った。

もっと世界を知らないといけないと思った。

「私スタジオ行きたい」

「どうしたの急に」

「久間くんって久間くんより歌が上手い人に会ったことある?」

久間くんと大町くんは顔を見合わせた。

「まあ、いるよ、たくさん、歌のうまい先輩はたくさんいるし、うちのメンバーには何でも出来る天才もいる」

「やっぱり、私もっと色んなことを知りたい、色んな人に会ってみたい」

「そうか、じゃあライブにくるといい、俺達も出てるし、もっと上手い先輩も出てる、3週間後にあるから、どう?」

「行きたい、是非」

「大町くんもバンドしてるの?」

須藤さんが聞いた。

「そう、こいつがドラムで俺がボーカル、他のメンバーは違う高校だけど、同じ元西中生、あとで紹介するよ」

「いいな、私も早くバンド組みたい、メンバー集めないと」

「まあ、焦らない方がいいよ、とりあえずスタジオ来てみなよ」

「うん、行きたい、何時なら大丈夫?」

「週末じゃなけれそんなに混まないからいつでも大丈夫だと思うよ」

「須藤さん、行こう」

「う、うん、行こう」

私は夕焼けの空と同じく複雑の色の心で家に帰った。
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