君はロックなんか聴かない
「二人は?」

「先に行ってるって、なんか早く終わったらしいよ」

「え、なんだよ少しくらい待ってくれればいいのに」

「そうだよな、予約の時間変わらないのに」

「二人ってバンドメンバー?」

青田さんが聞いた。

「そうだよ、ここで紹介しようと思ってたけどもう行っちゃったって」

「そうなんだ」

「まぁ行こうぜ」

私達は自転車を転がしながらスタジオに向かった。

「二人は彼氏いるの?」

「え、いないよ」

「私はいるよ」

須藤さんが答えた。いるんだ。意外だった。いや意外でも無いか

「どれくら付き合ってるの?」

「んー、もうすぐ一年くらい」

「おお、カッコいいの?」

「んー、普通だよ」

「え、見してよ」

「見たい」

久間君が言った。私も興味があった。
須藤さんは携帯をいじって写真を出してきた。それを大町君に見せた。

「え、イケメンじゃん」

「そうかな?」

須藤さんは照れていた。次に久間君に見して。私の番が来た。その写真は加工が多く全く元の顔が分からなかった。加工のせいか二人とも年齢より幼く見えた。

「かっこいいね、同じ中学?」

「そうだよ」

「高校は別?」

「そうだよ、工業」

「え、じゃあ、俺たちと遊んでていいの?」

「多分、大丈夫だと思う。デートとかは出来ないけどバンド行くだけだし」

私は少し羨ましかった。私も恋したいな。


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