君はロックなんか聴かない
プルルル、、

久間君は唇を震わせる。準備を整えてるのだろう

ドン!!!私は不意に耳を塞ぎたくなった。大町君がドラムを叩き始めた。体が吹き飛びそうな音。これがスタジオのドラムか凄い。

ドンドンドン

あー、あー、

久間君と大町君は真剣に準備してる。

何を話してるかは分からないいけどギターとベースはまだ喋ってる。

「BEFって知ってる?」

久間君がマイクを通して話しかけてくる。

「知ってるよ」

「じゃあBEFやろうか、聞いてください、BEFの曲でクアトロ」

久間君がメンバーに目で合図する。

ドラムの合図で曲が始まる。

「君の瞳が悲しいほどに、、、」久間君が歌い出す

上手い。嵐だ竜巻だ、私にはそう感じた。何だこれは甘い歌声に、さっきまで気怠そうにしてたギターは私の耳でも圧倒的に上手いことが分かるほどだ。眼光も鋭くまるで別人だ。ベースもドラムもリズムが全くブレない。本当に同級生なのだろうか私はこの人達に追いつけるのだろうかいろんな思いが入り混じり私は涙をこらえていた。

「上手だね」

小声で須藤さんが言う。

私はうなづくことしか出来無かった。

何分歌っているのだろう5分くらいの歌なのに私には永遠にも感じた。





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