君はロックなんか聴かない
私はバンドをバンドを組みたいんだ。

高校に入ったら絶対にやりたかった事。

まずは友達を作らないといけない。

仲良くならないとでもぜんぜんダメだ。

そんな事を考えれば考えるほど頭は真っ白になる。

天性の人見知りが全開だ。

当たりを見渡す。楽器をやってそうな人いないかな。ぜんぜん分からない。

やっぱり話さないと。

やっぱり出来ない。

こうなったら部活紹介にまでお預けかな。

「ねぇ、橋本さんだよね」

「うん」マスクをつけた女の子が話しかけてきた。制服は少しサイズが合ってないようにも見える。名前はなんだろ、さっき紹介してたのに分からない。

「私は須藤えみか、えみちゃんって呼んで
橋本さんてギター弾けるの??」

「うん、ちょっとなら弾けるよ」彼女は勢いよく話す。私の自己紹介にも食いついてきた。よく把握出来てるものだなと感心する。

「私もギター持ってるんだ!ぜんぜん弾けないけど、今度教えてよ」

「え、うん、ぜんぜんいいよ」

「約束ね」

「ギターどれくらいやってるの?」

「んーでも中学くらいだからまだ1年くらい、ピアノはずっとやってるんだけどね」

「えー、すごい私も最近買ったんだけどぜんぜん何から始めればいいか分からなくて今では部屋の飾り」

私も初めてから半年くらいだが少し嘘をついた。

「もったいないね、今度教えてあげるね」

「橋本さんはやっぱり軽音楽部に入るの?」

「んーたぶん」

「そうだよね、難しそうじゃなかったら私も入ってみようかな」

「いいじゃん」

「今日いく?」

「んー、そうしようか」

友達が出来たような感覚だった。私の夢への1本が踏み出された感覚があった。
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