君はロックなんか聴かない
今日も同じ場所に駐輪した。

高校にもだいぶ慣れてきた。いつも通りクラスに向かう、しかし今日は違うことが一つある、メンバー募集のチラシを持ってきた。学校にはすでに許可はとった。どんな人が来るだろうか、経験者がいいな、いやこの際バンドが始められば誰とでもいい、技術なんて後天的に身に付ければいいのだから、楽しみだ。

授業終了の鐘がなる。私は早速掲示板に向かった。がびょうを刺して、手作りのチラシを貼り付けた。我ながらなかなかの大作だ。集まりますようにと、願いを込めて。

放課後私はスタジオに向かう、今日は一人だ。

「いらっしゃいませ」店長が出迎えてくれる。相変わらずイカつい。

「こんにちは」

「お、持ってきた?」話はすでに久間君が付けてくれていた。

「はい、お願いします」

「了解、なかなかいいできだね、すぐ集まるといいね、ドラムとベースだね、俺もここに来るお客さんでやってる人いたら紹介するね」

「はい、お願いします」

「今日は練習していかないの?今日空いてるよ」

「あ、じゃあ少しだけやって行きます」

私は二階の部屋に上がる。本当に誰もいない貸し切り状態だ。少し寂しくて怖い。
そんな不安はギターをアンプに繋いだらなくなった。

私は時間が許すまでギターを弾き続けた。
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