君はロックなんか聴かない
次の日私は担任の先生に職員室に連れ出されていた。

「橋本さん事情は聞いたけど勝手に帰っちゃダメでしょ」

「すいませんでした」

「もう二度とないようにね」

「はい、すいませんでした」

職員室の奥の方で石原アイナの姿がある。先生に何か言われているが反省してる態度ではない。眼光が怖い。私は昨日のことを思い出して緊張が走る。

「8組の石原とは知り合いなの?」

「いや、知らなかったです」

「そっか、何でそんなことしたんだろうね」

「わからないです」思い出してまた泣きそうになった。

「そっか今連れてくるから」

「え」

「謝りたいんだって」

「え」

私の担任の先生が彼女を迎えに行った。彼女は彼女の担任の先生と私の前に来た。やはり目が怖い。

「すいませんでした」

「え、あ、はい」

その言葉が真実か嘘かはわからないが彼女は謝罪をした。私はそれ以上追求することは出来なかった。

「二度とやらないようにね」

「はい、すいませんでした」彼女の毅然とした態度には反省とも反抗とも取れた。だから誰も何も言えなかった。もともとそんな顔なのだろうか私は睨まれているような気がした。

「橋本さんも勝手に帰らないように」

「はい」

私はモヤモヤとしたものを心に残して教室に返された。
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