君はロックなんか聴かない
外は暑いらしい。

倉庫の中は寒い。私のゴールデンウィークの初日はこのアルバイトからはじまった。
目元しか見えないけど外国人が多いような気がする。寒い。

「それでは初めて行きます」

全員集められて朝礼が始まる。知り合いはいない。長い一日が始まりそうだ。

私は長いベルトコンベアの前に立たされた。動き出す。私の仕事はここに流れてくる箱に野菜を詰める事。退屈な仕事だ。何をしよう、歌詞でも考えよう。しかし寒い、もっと厚着をしてくれば良かった。そんな事面接では言われなかった。

ベルトコンベアは動き続ける。しかし退屈だ。なかなか時間が進まない。しかし途中で休むことは出来ない。これも経験だと思い込む。バンドマンには経験値が必要だ。そう思い込む。

休憩の鐘が鳴る。ベルトコンベアも止まる。でも思ったほど大変でも無いかも知れない、自販機でカフェオレを買う。大きく深呼吸をする。あと6時間か、長い。音楽でも聴ければ少しは楽しくなるのに、欠伸がでる。

休憩が終わりまた定位に戻る。またベルトコンベアが流れ出す。まだ連休は始まったばかりだと思うと辛くなる。私も遊びたい、しかしお金が無いと遊べない、人生はもどかしい。
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