君はロックなんか聴かない
疲れた。やっと家についた。そのままベッドにダイブする。ああ疲れた。足がはる感じだ。
しかし明日は楽しみにしていた学生ライブだ。表情が緩む。

仕事は大変だったが、その分凄まじい達成感に包まれる。やり切った。自分を褒めてやりたい。よく頑張った。気分が良い。もうたのし事しか残ってない。疲れてるはずなのに力が湧いてくる。ギターを抱きしめる。ああ、なんて恋しいのかしら、ジャカジャカと音を鳴らす。コードなんてめちゃくちゃだでもかまはない。音が音が鳴らしたいんだ。

毎日会っているの気分はえ遠距離恋愛、もっと愛して上げないと、会えなかった分を補うように愛し合わないといけない。今日は死ぬまでかき鳴らしてやろう、声が枯れるまで歌い続けてやろう。

音もコードもめちゃくちゃだ。でも、それで良いそれで良いのだ、今は音楽を無理やり愛したい気分。

仕事のストレスとその開放感と明日の高揚感を爆発させたい。そンな気分。

かき鳴らして大声で歌う、キーなんて気にしないただこのピュアな純愛を受けてもらいたい。
これが私の音楽だ。上手い下手なんてないのそれが今私が表現したいものロックだ。

幸せだ、息が切れる。それでも歌いたい。

私の音楽城に侵入者が現れた。睡魔だ。捕らえないと、睡魔はひらりと身を交わす。

コーヒーの盾も破られて睡魔は私に抱きついてきた。意識が遠のく。まだ風呂にも入ってないのに、まだ愛し合いたいのに睡魔の方が古参で力もうえだし、仕方ない諦めよう。

私はゆっくり暗い世界に落ちていった。
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