君はロックなんか聴かない
「どこにあるんだろ」

「ね、どこだろうね、聞いていみる?」

「そうだね」

私達は校庭に向かうと、色んな部員が我こそはとチラシを配っていた。野球部。サッカー部は一目で分かる。軽音楽部はどこだろう。
ずっと校庭の端から音楽が聴こえるがこれは吹奏楽部だ。

「あのすいません」

「はい」

「軽音楽部の部室はどこですか?」

「軽音楽部?」

「はい」

「あー、軽音楽部は辞めた方がいいよ」

「え、何でですか?」

「あ、まあ行ってみるといいよ、旧校舎2階の多目的が吹奏楽部の部室だよ」

「あ、ありがとうございます」

辞めた方いいとはどういう意味だろう、私達は教えてくれた先輩に頭を軽く下げて旧校舎に向かうことにした。

旧校舎は新校舎に比べるとどこか古臭さを感じる。階段を見つけて2人で登ることにした。

すると、大きな音が階段まで響いてきた。何の音楽だろう私は聞いた事ない。おそらく流行りの洋楽だろう。私達は顔を見合わせる。

廊下には1面音楽が鳴り響いていた。少し不安になったがその部屋に近寄る。正確の場所まで分からなかったが分かる、確実にその部屋に違いない。

近づくとその部屋の廊下で一人の男子生徒が立って中の部員と何か話しているようだった。

「これが軽音楽部ですか?」

「そうだよ」

「ここは楽器とか弾けるんですか?」

「まあ、軽音楽部だからね」

古臭さのある部室からはほのかに煙草の匂いが漏れてきている。

「今日はひかないんですか?」

「今日?今日は弾かないよ」
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