君はロックなんか聴かない
その日はすぐに来た、初のスタジオ入りだ。

楽しみにしてたぶん期待も大きい。肩にはギターがのしかかる。

いつもの音楽スタジオ、プリプリにえみちゃん、青田さん、白石さんで来ていた。胸は高鳴る。店長は今日もイカツイ格好をしている。

「いらっしゃいませ」

「こんにちは、2時間でバンド練習でお願いします」

「はいよ」

私たちは奥の扉からスタジオに入る。この動きもだいぶ慣れてきた。音楽は聞こえてこない、今日はここには私たちだけらしい、少し寂しいが気持ちは楽だ。

それぞれ持ち場につく、シールドを繋ぎ、アンプを立ち上げる。私はギターを一気にかき鳴らす。先頭を切る。それにつられて皆も音をだし始める。
それぞれ音を調整する。

「ベースが少し大きいかも」

「はい」私はマイクを通して指示を出す。青田さんはつまみをひねって音を下げる。

「皆さん、準備はよろしいですか?」

皆うなずく。

「ではいきましょう」

ドラムのカウントで始まる。ギターもイントロから入る。そして全員の音が重なる。私が歌い始める。そこは紛れもなく私たちの世界だった。私は弾きながらメンバーに視線を送る。視線が合いハニカム。音楽はやはり素晴らしい。こんなにも心地よいのだから。

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