君はロックなんか聴かない
嫌な予感がした。

「入部するかい、新入生??」

「いや、少し考えさせてください」

「あれ、君たちも見学??」

部屋の奥から見えた、その茶髪の部員は私達にも声をかけてきた。制服も着崩してるし耳に金のピアスも光っている。

「あ、はい」

「今年の新入生は多いね」

「辞めた方がいい」

「え、」

「行こう」

私達は部員間近で強引に男子生徒に階段の側までつれて来られた。

急に走ったせいで息が苦しい。

「君達は同じクラスだったよね、ギター持ってるから軽音楽部に来たんだろうけどあそこは辞めた方がいい、名前だけの最低の部室だった、あそこに居たら上手くはなれないと思う。別にそれでもあそこにいたいなら止めないけど」

「え、そんな」

「バンドは持ってる?」

私達は首を横に振る。

「いや、まだぜんぜん」

「そっか、じゃあ大変かもしれないけどメンバー集めてスタジオ行くしかないないね、少しお金はかかるけど、あそこにいるよりはマシだと思うよ」

どの道メンバーは集めようと思っていたが残念だ。

「え、どうしてもできない感じ」

須藤さんが言った。

「んー、不良の巣窟って感じだった、楽器も触った事無いって言ってたし、あれじゃあ何の意味もないよ」

「そうか」

私の夢への第1歩は本の一日で崩れた。憧れていた私の学園生活は終わってしまった。泣きそうになってしまった。

「もし良かったらスタジオ紹介しよか?学生なら安くなるしもし空いてればそこでバイトもできるかもしれないし、ほかの学校の人もいるからメンバー集めも楽かもよ」

「え、行きたい、教えてください」

「puripuriってとこなんだけど駅の近くにあるとこ俺の紹介って言えばすぐ入れると思うよ」

「あ、ありがとう、あの、名前は?」

「自己紹介したじゃん!久間だよ」

「久間君ね、ありがとう」

「おう、じゃあまた明日ね」

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