君はロックなんか聴かない
今日は席替えがあった、皆一喜一憂していたが私には関係無い。正直何が楽しいのか分からない。私はまた窓際二つ後ろに下がった。えみちゃんと席が近くなったのは良かった。後は特に無い。好きな人がいたら何か違かったのだろうか、勿体無い。
恋って何だろう、分からない。いや分かっているのだろうか、小学校の時も中学校の時も好きな人はいた。小学校の頃は足が速い子が好きで中学校の頃はサッカー部の子が好きだった。付き合ったは無い、全部密かな片思いだった。後悔は無い。今はどうだ、好きな人分からない。昔はわかっていたのに、今は分からない、顔がいい人はいるけど好きとは違う。きっと今は音楽に恋している、それでいいのだ。
えみちゃんがこっちを振り返って指をさす。久間君も席が近くなった。そんなこと気付いている。余計なお世話だ。私は眉間にシワを寄せて苦笑いで返事をする。久間君はそんな私の仕草には気付かず友達と話してる。それでいい、どこかほっとした。無邪気に笑うその姿に何処か心落ち着く。学校での姿、スタジオでの姿、まるで違う、もちろん尊敬しているけどまだ恋に落ちる訳にはいかない。いつか超えていかないといけないそんな存在。こんなに届きそうなのに大きくて遠い。
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