君はロックなんか聴かない
自転車をしまい。玄関を開ける。

「ただいま」

「おかえりなさい、どうだった?」

「んー、いい事あったよ、スタジオ紹介してもらった!それより今日の夕ご飯何??」

「今日はハンバーグだよ、もう少しだからちょと待ってて」

「はーい」

私は二階にある自分の部屋に駆け上がった。
ギターを壁に立て掛ける。そしてバックを置く。制服のままベットに横になる。スマホをいじりながら今日のあったことを思い出す。

余韻に浸る。私は無意識にギターを握っていた。バイト代で買った中古のレスポール。惚れ惚れするほどかっこいい。

今日も練習しないと。ピックを持ちアンプには繋げずにジャカジャカと音を鳴らす。

スマホで楽譜をみてひたすらコピー。大好きなSecretの譜面。
コピーは楽しい。それは間違いなく楽しいのだがオリジナルが作ってみたいという夢が不安を煽る。

まだ焦らないまだ焦らない。しっかり基礎練そうやって自分を思い聞かす。そもそも今の力じゃ作れない。

早くバンド組みたいな。どんな感じなんだろうな。やっぱり楽しいのかな。
いい人が集まればいいな。

そうだポスター作らないと。

私は画用紙に可愛らしくメンバー募集と書き連ねた。心を込めて丁寧に。

「ひめ!ご飯出来たよ」

「はーい」

私は途中の画用紙を放置して制服を着替えてご飯を食べにリビングに向かう。ハンバーグか、楽しみだ。

まだ早い時間なのに珍しく兄と父もいる。

「いただきます」
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