君はロックなんか聴かない
期末テストも無事に終わりやっと力が抜ける。しかし暑い。

後は夏休みまでの消化試合。テストの結果はボチボチだ。大体平均点。良くも悪くも無い。叱られる事はないだろう。後はバイトと音楽で夏休を充実させるだけ、プールにもいきたい。肌は焼きたくないが、しっかりこの連休を楽しみたい。

帰り道自転車を押しえみちゃんと話しながら帰る。セミがうるさい。種類は分からないがうるさい。彼らが奏でる音楽は私には理解できなっかた。

「セミが凄いね」

「うん、暑いのによく頑張るよね」

「知ってる?セミって一週間の寿命じゃないんだよ、土の中に6年くらいはいるらしいよ」

「え、そうなんだ、でも短いけどね」

「うん、でもどんなに頑張っても嫌いだけどね、うるさいし、見た目が怖い」

「うん私も苦手」

「知ってる?セミって結構美味しいらしいよ」

「え、嘘、気持ち悪い」

「え、勿論食べた事ないよ」

「てかなんでそんなにセミに詳しいの?セミ博士?」

「いや、たまたまテレビでやってたの思い出して」

「そっか」

私たちはコンビニに寄って一時休憩をとる。直接は帰れない。殺人的な暑さだ。ソーダのアイスを買う。冷たくて美味しい。このアイスは夏に合う。

「美味しい?」

「美味しい」

「えみちゃんのそれ何?」

「なんかぶどうのシャーベットのアイス、新発売らしい、結構美味しいよ、食べる?」

「え、うん、ちょうだい」

「はい」

「ありがとう」ぶどうの味だ。甘い。悪くない。

「どう?」

「美味しい」

そんなやりとりを遮るような蝉時雨。灼熱の太陽。滴るアイス。夏だ。
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