君はロックなんか聴かない
✳︎
 待ちに待ったプールの日がきた。楽しみだ。晴天だ。暑い。電車で二駅、えみちゃん、青田さん、白石さん入り口でみんな集合した。
「おはよう」

「おはよう」

「あっついね」

「ねーあつい、早くはいろっか」

「はいろっか」

「うん」

「楽しみだね」
荷物検査をして中に入る。楽しみだ。水着に着替える。今日の為に買った水着だ。かわいい。日焼け止めを塗りたぐる。みんなかわいい水着だ。驚きだ。みんな胸がデカい。みんなスタイルいいな、この中に入るのは少し恥ずかしい。私は胸をおさえる。
「どうしたの?ひめちゃん」

「いや、ううん、なんでもない」

「ひめちゃんめっちゃ肌白いね」

「ほんとだ、めっちゃ綺麗!」

「そう?まあほとんど外に出てないからね」

「いいな、羨ましい」

「そんな事ないよ、いこ!」

「うん」

「そういえばラヴみょんの新曲聞いた?」

「え、出たんだ、まだ聞いてない」

「めっちゃいいよ、PV泣ける。私昨日ずっとリピートしちゃった」

「いいな聴きたい!」

更衣室から外に出る。暑い。人が多い。皆楽しそうだ。早く水に入りたい。塩素の香りがする。

「ひめちゃん」

「きゃ!、ねえー」

えみちゃんにいたずらに水をかけられた。冷たい。

「早く、入ろう」

「うん」
そっと足を水に入れる。
「冷たい」

「冷たいね」
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