君はロックなんか聴かない
 さっと水をすくう。水をかけ合う。冷たい。えみちゃんはかけ返す。冷たい、けどなんとなく青春の香りがした。
「冷たい!」

「ねぇ、口に入ったんだけど」

「ごめん、ごめん」

 波のプールに入る。ここは海のように波を感じる事ができる場所だ。大きな波が全身を包む。意外と強い。グッと流される。皆髪もびしょびしょだ。面白い。笑いあっていると次の波がくる。
「強すぎじゃない?」

「ね、強すぎだよね」

「ちっちゃい子とか危ないんじゃない?ほら、めっちゃ流されてるし」

「ほんとだ」

「強すぎだよね」

「面白すぎ」

「今、水着脱げそうになったよ」

「え、大丈夫?気をつけてね」

「水着だけ流されて行ったらめっちゃ面白いけどね」

「それはやばい」
その波の強さに皆笑いが止まらなっかた。まるで童心に戻ったように笑い続けた。
なんでこんなに楽しいのだろう、なんでこんなに面白いのだろう単純な事なのに青春はきっとここにある。波が日光を反射してキラキラと輝いていた。
「滑り台行こう!」

「いいねー」

「怖くないかな?」白石さんが問いかける。

「どうだろう、高いのは苦手?」

「あんまり激しいのは厳しいかもしれない」

「どうだろう、見てみよう」

「多分、そんなに高くないのもあったと思うよ」
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