君はロックなんか聴かない
MCが挨拶を始める。そして最初のバンドの演奏が始まる。一瞬静まる会場。
学生たちが楽器を持ってスタンバイする。
何年生だろう?どこの学校の人だろう?演奏が始まる聞いたことのあるイントロ。コピーバンドだ、生意気な事を言うが何とも可もなく不可もないといった感じだ。聴き馴染みのある音楽。別に悪い訳じゃない。でも多分入選はしないだろう。安心感と緊張感。唾を飲む。隣にいるエミちゃんと目が合う。そしてすぐに演奏に目を戻す。ミスを見つけると安堵感が出る。性格の悪い自分が気持ち悪い。私たちは私たちで精一杯やればいいはずなのに、スッと深呼吸をする。人混みの中あまりいい空気とは言え無いしかしそれでも構わない。バンドマンの血を吸うのだ。これが音楽、これが私の憧れた世界。素晴らしい。でも本当は違う、この景色では無い。反対の世界、ステージの上から見る景色それが見たいのだ。
「おはよう、凄いね、音」
「あ、来てくれたんだ」
エミちゃんの友達だ、私も軽く会釈する。華奢の女の子二人組、私たちの出番はまだ先なのに彼女たちにこの空間が耐えられるのだろうか、そんな事をしていると1組目の演奏が終わった。私たちもそろそろリハに入りたい。
学生たちが楽器を持ってスタンバイする。
何年生だろう?どこの学校の人だろう?演奏が始まる聞いたことのあるイントロ。コピーバンドだ、生意気な事を言うが何とも可もなく不可もないといった感じだ。聴き馴染みのある音楽。別に悪い訳じゃない。でも多分入選はしないだろう。安心感と緊張感。唾を飲む。隣にいるエミちゃんと目が合う。そしてすぐに演奏に目を戻す。ミスを見つけると安堵感が出る。性格の悪い自分が気持ち悪い。私たちは私たちで精一杯やればいいはずなのに、スッと深呼吸をする。人混みの中あまりいい空気とは言え無いしかしそれでも構わない。バンドマンの血を吸うのだ。これが音楽、これが私の憧れた世界。素晴らしい。でも本当は違う、この景色では無い。反対の世界、ステージの上から見る景色それが見たいのだ。
「おはよう、凄いね、音」
「あ、来てくれたんだ」
エミちゃんの友達だ、私も軽く会釈する。華奢の女の子二人組、私たちの出番はまだ先なのに彼女たちにこの空間が耐えられるのだろうか、そんな事をしていると1組目の演奏が終わった。私たちもそろそろリハに入りたい。