異世界もふもふ保育園へようこそ!
確か、ランスと呼ばれていた気がする……。
そんな彼に従っているのは、ミケーレさんより大柄でがっしりとした体躯の虎の雰囲気のディランと呼ばれていた男性だ。
「はい、それではご案内します。ライラさん、普段遊んでいるところに案内してくるので離れますがお願いします」
「えぇ、任せて。気を付けてね」
ライラさんに園のほうを任せて、私はランスさんとディランさんを案内する。
園舎を出てすぐ先に囲いをした広い広場を作り、そこに私の世界にあった砂場やブランコなどの遊具を作ってもらった。
これも絵に描いて大工のサムさんや金属加工のできる村の大人たちに作ってもらったものだ。
園を卒業して学校に行くような年齢になるとやっと人型になる子たちが増えてくるので、そんな子たちが体の動きをスムーズに遊びの中で覚えられるようにと思っての園庭だった。
「この遊具はなんですか?」
ランスさんが気になったのは滑り台。
階段の先に滑るための傾斜の板の形状。初めて見るなら何か分からないものばかりだろうなぁ。
心なしか、わくわくしている雰囲気を感じる。
「これは滑り台といって階段を上って斜めの板を座って滑ってくる遊具ですよ」
わくわくとした瞳が、これは自分も滑れるのかと語っていたので私は勧めてみることにした。
「一応、大人も大丈夫なので滑ってもいいですよ」
その言葉に反応して、ランスさんは速足をおさえたような歩きで滑り台にたどり着くと上って滑ってみた。
初めての滑り台の反応は、初めて滑った時の子ども達と同じできらきらと楽しそうな表情を見せたので、つい微笑ましくなってしまって自然と笑顔になってしまう。
すると、そんな私に気づいたランスさんはなんだかちょっぴり居心地悪そうにしつつも戻ってきて言った。