異世界もふもふ保育園へようこそ!
「こんな面白い遊具があるんですね。子ども達も好きでしょう?」
その問いに私はにこやかに答えた。
「えぇ、この滑り台とブランコは人気ですよ。順番待ちがやっとみんな上手になりました」
私の答えに、驚きつつランスさんやディランさんが聞いてきた。
「順番待ち、出来るのかい? ここの一番小さな子は何歳だったっけ?」
「一番小さい子はもうすぐ二歳になるリリーちゃんです。お兄ちゃんお姉ちゃんが最初こそ譲ってましたが、最近はリリーちゃんもみんなが滑りたいのを分かってちゃんと順番に並ぶことができるようになりました」
そう答えると、二人は顔を見合わせて驚いた後に私に聞いた。
「どうやって順番に並ぶことを教えたんだい?」
「最初は声を掛けました。お兄ちゃんお姉ちゃんも遊びたいんだよ?リリーちゃんも順番こしようね?って」
「それで、どうなったんだ?」
「最初は分かりませんでしたが、リリーちゃんも順番に行儀よく並んで待ってるお兄ちゃんお姉ちゃんを見て順番こを理解してくれて、並んで待つようになったんです」
こういうのは本人の気づきも大切なのだ。
身をもって体験して、ルールを学ぶのも集団生活で得られるものである。
そのためにお手本になれるお兄ちゃんお姉ちゃんが多かったのが、リリーちゃんの気づきの早さにつながったと思う。
環境は成長過程において大きな要因になるのだ。
「これは、王都でもぜひ同じ遊具を作って実施しよう。学校に入る前にこんなに成長できる施設は親にも子にもいい影響となるだろう」
楽しんでいた顔はどこへやら。
いまのランスさんは真剣そのものだった。
ちょっと柔らかさが抜けて精悍になり、不覚にもかっこいいと思ってしまった。
ダンディなお父さん譲りなのかもしれないな。
「次期国王ともなると、お父様と共に視察も熱が入りますね」
私がそう声をかけると、二人は驚いた顔で私を見つめて言った。