異世界もふもふ保育園へようこそ!
嵐のあとは
無事に村人みんなで嵐を乗り切ったが、村に戻ると状況は悲惨だった。
農場と畑はみんな泥と水に浸かってしまい作物は全滅。
農場はなんとか水が来る前に草原に牛や豚や鳥もどこかに行ってしまうのを考慮しつつも放したおかげで、家畜は何匹か行方不明ながらも無事だった。
そして住人たちの家やお店はと言うと、やはり泥まみれ。
これを綺麗に片付けるのは容易じゃない感じのべとつき具合で、その様子に住人みんなため息を零すけれど、みんなお互いを見つそのあとには笑顔を浮かべていた。
昨夜子ども達が寝てから村の大人から聞いたのは、二十年前に同じ規模の嵐が来たときは大人子ども合わせて百人近くの犠牲者が出たのだという……。
それを想えば、村人がみんな無事で嵐を乗り越えられたことは奇跡なんだと。
ここに大きな建物が出来てたおかげだと、みんな口をそろえて言った。
そんな二十年前を思えば、今回はみんな無事なのだ。
力を合わせて、綺麗にしてゆっくりと生活を立て直していけばいい。
そんな気持ちの前向きな笑顔が見られて、みんな片付けに精を出し始めた。
私はそんな村人たちの邪魔にならないように、園舎で子ども達と保育園を再開することにした。
いろいろ足りないものはあるけれど、この生活の立て直しの現場は子どもは危ないからだ。
子ども達も自分の家の状況を見て、元のように住めるようになるまで時間がいることを理解できたようで、私と一緒に園舎で過ごしたり、午後は園庭に飛んできた枝や葉っぱを集めて綺麗にしたりと子ども達も頑張ったのだった。