異世界もふもふ保育園へようこそ!
嵐の日から四日、園庭で遊んでいた子ども達が一斉に草原のほうへと顔を向ける。
「みんなどうしたの?」
いま子ども達以外ではここには私とマリーさんしかいない。
ライラさんもいつも手伝ってくれるキャロルさんやミーナさんエリンさんも自宅の修復で忙しいのだ。
そんな時に子ども達が一斉に草原のほうに反応するので私としてはどうしたらいいものか、判断に困っているとカロンくんが寄って来て教えてくれた。
「王様の気配がする。それ以外にもいっぱいの人の気配がするからみんな気になっているんだ」
そんなカロンくんの説明を聞いてるうちに、私の背後からもたくさんの足音がしてきた。
振り返れば、そこにはカーライドさんをはじめとした村の若手の大人たちが来ている。
「すごい人数の集団が近づいてくる気配がして、心配になって来てみたんだが杞憂だったみたいだ」
そのカーライドさんの言葉にカロンくんは頷いて言う。
「カーライド兄ちゃんは、距離がありすぎて誰だか分からなかったんだね。俺は距離が近かったから王様だって分かったよ」
ちょっと自慢げにいうカロンくんの頭を撫でて、カーライドさんはにこやかに言う。
「あぁ、カロンはしっかり成長しているな。来年から学校だもんな、大きくなったもんだ。みんな、固まってないでこっちにおいで」
カーライドさんの声にカロンくんより小さな子達で固まってた子たちが動き出した。
「お前たちも、ちゃんと気配が読めて偉いぞ。今回はいいが、おかしいと思ったらすぐハルナに伝えて園舎に戻るんだ。今度からの約束な?」
かがんで子ども達に目線を合わせて言うカーライドさんに、子ども達は顔を綻ばせていい返事をした。
「はい! ちゃんとハルナ先生を守るからね!」
一人ずつわしゃわしゃと撫でながら、頼んだぞと笑顔で言って回るカーライドさんは優しくて、頼もしいなと眩しく感じたのだった。
近づいてきた気配はカロンくんが教えてくれた通り、一か月ぶりの王様ご一行だった。
しかも今回はかなりの大人数で、私たちも驚きを隠せないが王様は村の半数近くが保育園のそばに集まってるのを見て安堵の笑みをこぼして言った。