異世界もふもふ保育園へようこそ!
「皆、無事であったか。此度の嵐は王都でも猛威を振るっていたので、心配になり視察に来た。被害を想定して食物と物資と人手も連れてきた。数日滞在するから、その間に一気に作業を進めよう」
王様の言葉に、駆けつけたローライドさんは頭を下げた。
「ありがたく存じます。此度の嵐は村人は保育園に避難したおかげで誰一人欠くことなく無事でありました。しかし、住居や仕事に関しては壊滅的なのです」
王様はローライドさんの話を聞くと、保育園から村を見渡して頷いた。
その眼下には、ダメになってしまった畑。
農場の飛んでしまった屋根や村の家にまだまだこびりついている泥汚れなどが見えていただろう。
およそ人が生活できるような状態ではない、悲惨な状況。
それでも死者がいなかった、それだけが私たちのやる気を支えていたのだ。
「これだけの被害で、よくぞ無事だったと思う。こうした少し高いところに大きな建物を建てるのは、嵐には有効かもしれぬな。今後のことを考えて検討次第即、国としても動くとしよう」
そんな王様は、後方に控えていた騎士や作業員のような人々に動くよう指示を出す。
それを聞いて、村の状況を一番把握しているローライドさんがあれこれと王様が連れてきた人々と話し出す。
また村に人々が移動していくと、王様はまだここに残っていた。
「嵐の際、この保育園を避難所にしたのはそなたの意見か?」
静かに問われた私は王様を見つめて答えた。