異世界もふもふ保育園へようこそ!

 こんな種族別に固まって過ごす村なのに珍しいんじゃないかなと思う。
 いくら落ち人が好かれるものだといっても、受け入れるか否かはやっぱり違うんじゃないかなと、ここで暮らして思うようになったのだ。

 だからこそ、受け入れてくれたこの村で暮らすのならば、ここで出来ることをしなければならないと思う。

 まだまだ半人前みたいなものだが、ここで子ども達の成長の手助けと、働くお母さんたちの力になれたらと考えて、保育園を頑張ってやっていかなければと思うのだった。

 夕方には作業していた大工さんや騎士さんと村の人々が保育園に帰ってくる。
 その前に数名の騎士が保育園そばの草原に天幕を張り、煮炊きを始めた。
 保育園内でも作ってはいたものの、なかなか全員に温かいものは回らない。
 大人たちは子どもを優先して、結構嵐から四日経つ今日までつつましい食事で過ごしてきたのだ。
 温かな煮炊きのにおいは、疲れた体にいい具合に食欲を刺激する。

 「皆、頑張ってくれてありがとう。さぁ、沢山食べてくれ」

 そう、なんと煮炊きには国王さま自ら参加して料理の腕を振るっていた。

 子ども達は、そんな王様に興味津々だし危なくないように少し離れつつも王様の料理姿を眺めて過ごした。

 そんな大量のご飯は村人と応援の騎士と大工で綺麗に食べ切ったのだった。
 久々の温かくお腹一杯になれる食事に大人もやっと一心地つけたのだろう。
 みんな疲れているものの表情は穏やかになった。
 こういった時はご飯も重要なんだなと、はっきりとわかる場面となった。

そうして、国王陛下と復興支援の一行は村が綺麗になってみんなが家に帰れるまでになると、残りの食材や資材などを置いて王都へと帰っていった。
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