異世界もふもふ保育園へようこそ!
翌朝、しっかりと起きて準備を整えると村の唯一の宿からミケーレさんが迎えに来てくれた。
「では、行ってきます」
ローライドさん、ライラさん、カーライドさんに挨拶をして私はミケーレさんと王都へと向かう。
草原に来るところで保育園から子ども達が駆け出してくる姿が見えた。
「ハルナ先生早く帰って来てね!」
「うん! みんないい子でね、すぐ帰るからね!」
こうしてたくさんの人に見送られて、私は王都に向かう。
ミケーレさんが乗ってきた馬車に乗り、王都を目指す。
羊族の村から王都に行くまでには、丸一日かかる。
その間には馬族の村があり、そこで一泊して翌日に王都入りになるという。
明日のお昼には到着予定だと聞くと、この国の領土が結構広いことに初めて気づいたのだった。
その日の夕方、馬族の村に着くとやはりそこには仔馬の姿がちょこちょこと見える。
羊とはまた違った可愛さに、ついつい眺めているとミケーレさんは珍しく私を見て表情を緩めた。
「ハルナさんは本当に子ども達が可愛いと思ってくださってるのですね」
その言葉に私がよく分からず首を傾げていると、ミケーレさんは教えてくれた。
「昔にも落ち人に私は出会ったことがあるのですが、その人は動物が苦手だったのか我々の姿を嫌がりましたから……」
中にはそういう人もいただろう、でも私はもともと動物が好きなのだ。
しかも動物姿の子はだいたい子ども。
子どもも好きな私にしてみたら、もはや関われるのは幸せにしか思えない。
「そんな人もいるでしょうけど、私は動物の姿も、ましてその姿の子は子どもだということも、可愛く愛しい存在にしか見えませんから」
そんな私の返事にミケーレさんは柔らかな表情のまま、こう返した。
「だから、陛下も保育園事業を起こすのにためらわなかったのでしょう。あなたを認めておりますからね」