異世界もふもふ保育園へようこそ!

 「まさか、お城のすぐそばに作っちゃいましたか。保育園を……」

 そんな私のつぶやきに、ミケーレさんはなんてことない顔で頷きつつにこやかに言う。

 「城で働く者も多いですし、城下からも道が整ってますからこの場所が丁度よいとなりまして、ここに建てました」

 間違いなく、国運営の保育園誕生に立ち会うことになったようだ。
 
 「王様との謁見後に、保育園も見て大丈夫ですか?」

 私の質問に、もちろん問題ないと返してくれたミケーレさんの言葉と同じくしてお城の正面入り口に到着したのだった。

 荘厳ってこういうことをいうんだろうなというお城の中は質実剛健で華美なものは無く、実用重視に重きを置いているのが良く分かる。
 しかし、使っているものは落ち着いているものの質は確かなものだと思う。
 華美でも豪華でもなくても、良いものと言うのはあるのだ。
 それを具体化したお城に、王様の気質を垣間見た気がした。

 真っすぐに、ミケーレさんと共に案内されたのは王宮の謁見の間であった。
 そこには久しぶりに会う国王様と、国王様と同世代の綺麗な女性に若い男の人だった。
 どうやら、私はいきなり国王ご一家とご対面となったらしい。

 「久しぶりだな、ハルナ。今回は無理を言ったが聞き入れてくれて感謝する」

 王様は、相変わらずだ。 にこやかにしているけれど、その行動や考え方は国を優先する統治者のもの。

 「いえ、元々の約束でしたから。でも、夏前には帰りますからね? 子ども達が私を待ってますので」

 にっこりとここでのお手伝い期限に関してはハッキリしておくに限るのであっさり目に告げる。

 「うん、ハルナはやっぱりしっかりした子だね。分かった、夏前まで頼むよ」

 どうやら、帰る時期の交渉は成功しました。
 ライラさん、私ちゃんと約束守って早めに帰るからね!
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