異世界もふもふ保育園へようこそ!
「ぜひ、聞かせてくれハルナ」
「えぇ。さぁ、こちらでお茶を用意するから少しのどを潤してからお話して頂戴」
サクッと国王夫妻に謁見の間から、私的なお話用のティーサロンに通されて私は綺麗でフワッとした素敵なソファーに座ってお話しした。
「街道を移動してきて思ったんです。王都とその周辺の近くまでは石畳が敷かれてますが、羊族やその奥の領地はまだでしょう? 災害なども無いとは言えない、そんなときに支援するためにも街道整備はするべきだと思いました」
そんな私の言葉に耳を傾けると、国王夫妻は大いに同意を示してくれた。
「それは我々も考えていたのだがなかなか、難しいものでな」
聞けばこのアルアローザには結構な領地と部族が住んでいて、すべてに石畳を敷くというのは困難を極めるという。
「それは私も分かります。だから少しづつゆっくりと時間をかけて、各部族の農作業が休みの時などに道づくりの作業をしてもらって、その間は国からその仕事に対する給金を出すんです。国の仕事の一環として引き受けてもらうんです」
どうやら、道は各部族に委ねられていたらしく差が開く一方だったらしい。
それでは嵐みたいなときに迅速な支援が難しくなってしまう。
でも、嵐の周期は長い。
ならば、次までには整えておければ大丈夫なのでは?という長期プロジェクトなのだ。
そういった話で理解を示してくれた国王陛下はさっそく関係大臣たちと検討し、各領地での陣頭指揮に第二王子であるレザントを向かわせると決定したのだった。
ここまででその当事者たるレザント王子は若干不服そうにしていたが、この前の嵐のことは聞いていたのだろう、後半からはしっかり話を聞いていたように思う。
こうして、少し波乱もありつつ王都入りを果たしたのだった。
保育園は羊族の保育園のバージョンアップ版になっており、受け入れ人数も多いため広く快適に作られていた。
さぁ、ここから国営保育園の開園まで頑張るぞ。
その日も歓迎されつつ、美味しい料理でもてなされてぐっすりと休んだのだった。