異世界もふもふ保育園へようこそ!
「実は、妻はこの城で王妃付きの女官として働いているのですが。今日は体調を崩して休んでいるんです。いつもはそういう時は妻の母に頼むのですが、今回はタイミングが悪く頼めず……。私が仕事をしつつ見ていたのですが、仕事にならず……」
うん、お父さん頑張ったんだね。
話しながらもげっぞりしているミケーレさんは、それでもなんとか自分が面倒見ようと奮闘したが仕事がどうにもならず、私を思い出してここに足を運んだのだろう。
普段面倒を主として見てない人が仕事をしつつ子どもを見るのは困難だろう。
「ミケーレさん、ニーナちゃんさえ良ければ私がここで二時間ほどお預かりしましょうか? 私もネコ科の子どもに慣れるのに助かりますし」
私の提案に、ミケーレさんはもはや眩しいものでも見るような顔になっていた。
うん、今は大人しいけどニーナちゃんは元気な子だなと予測する。
「ニーナちゃん、パパはお仕事がちょっと忙しいんだって。少しの間、私と一緒にこれからお友達と過ごすお部屋の飾りつけ、やらない?」
私の提案に今いる部屋を見回して、ニーナちゃんはここがまだ準備中だと知った様子。
「ニーナ、邪魔じゃない?」
どうやら、周りにも気を使えるいい子だ。
そんなニーナちゃんなら大丈夫だろう。
「邪魔なんかじゃないよ。私、ここに来たばっかりだからニーナちゃんやお友達のこと教えてくれると助かっちゃう」
にっこりと視線を合わせてお願いすれば、ニーナちゃんもホッとした表情で頷いてくれた。
「うん、ニーナお手伝いする! パパ、お仕事終わったらお迎え来てね。それまでここで先生のお手伝いしてるね」
元気に尻尾をぴんと立てて言う、ニーナちゃんにミケーレさんもなんとか笑顔を浮かべて言った。
「あぁ、仕事を早く終わらせて迎えに来るから。ハルナ先生の言うことを聞いてしっかりな」
「うん、パパも頑張ってね」
予想外にミケーレさんのパパな姿を見つつ、私は初めてネコ科の子と一緒に過ごすことになった。
とりあえず、一言いいだろうか?
ニーナちゃんめっちゃ子猫なのに美猫さんですね!!
毛はツヤツヤだし、ひげはピンと元気でしなやかな体躯。
まさしく可愛くも美しいネコ科である。
あぁ、モフりたいが初めましてなのですもの、我慢よ……。