異世界もふもふ保育園へようこそ!
私なんて、どこにでもいる普通の子だった。
容姿は元の世界では平凡であり、目立たず当たり障りなく、普通の十人並みと言ったところ。
卑下してもいない、普通の感覚で見て平均的というのが私の容姿である。
特徴がないというより、特記するところがないという感じでとにかくザ、平凡という日本人の大好きな平均ど真ん中にいたのである。
だから可愛いなんて言葉とは程遠いというか、小さなころに親や親族に言われて以来の言葉に少々面食らってしまったのだ。
「私たちから見ると、ハルナは可愛くってたまらないのよ。庇護をそそるの」
キャロルさんはそう言って微笑む。
「落ち人さん効果というか、守らないとって感じさせる可愛さなんですよね」
なんてキャロルさんの言葉にミューナさんまで同意を示している。
そっか、ここでは好かれるっていう神様からのギフトがあったんだったと納得しているとマロンさんがにこやかに続ける。
「あとは人柄ですね。だって私たちに偏見がないことが分かるし、子ども達のことも真剣に考えてくれてることはこの部屋を見れば分かります。だからこそ、私たちも無条件でない可愛らしさや、大切にしたいという思いを抱くんですよ」
マロンさんは私を見てそう告げた。
その顔は真実感じたままに話している様子で、ここの人々は本当に思うままに気持ちを伝えてくれる人ばかりで、温かい気持ちで胸がいっぱいになる。
神様のおちょこちょいでこの世界に来てしまったけれど、帰れなくてもこんなに温かな人々と過ごせるなら、そう悪いことでもなかったのかもしれないとここに来て思ったのだった。
準備も進み、王妃様にニーナちゃんの提案をそのまま伝えてお子様用タワーの改良も完了して数日。
とうとう、王都の保育園のスタートの日を迎える。
ニーナちゃん以外の子は初めましてだ。
この園を、一緒に過ごす時間を楽しんでもらえますように……。