異世界もふもふ保育園へようこそ!
王宮の一角である保育園。
その周辺は落ち着いた雰囲気の庭園のそばなのだが、王城の一角なので少し駆けだせば一気にこの膨大な広さの王城で迷子になるのだ。
一応見回りの騎士さんや、衛士さんたちも子どもを見かけたら保育園まで連れてきてくれることになっている。
そのあたりは、王妃様や国王様がネコ科なりの行動範囲を配慮して最初に考えて既に城内で働く人々には周知してくれていた。
なので迷子になってもすぐに見つかり保育園へ戻ってくるってことが多かったものの、皆様の負担を考えれば暴走せずに移動出来たほうが良い。
だからこそ、この成長に喜びを感じずにはいられない。
こうしてちゃんと歩けるようになると子ども達の興味や関心に合わせて、寄り道したりしつつも見晴らしが良く整った芝が広がるところに到着するまでも安全に過ごせたのだった。
そうして着いた先で敷布を広げてランチタイムとする。
子ども達は、いまかいまかと待ちきれないようで可愛い尻尾を揺らしている。
用意してもらったバスケットの中には唐揚げとサンドイッチが入っている。
この子たちは良く食べるから、たっぷりの量がバスケットには詰められていた。
持ってきた取り皿に、まずは一回目の量を乗せて一人一人の前に並べる。
フリフリと揺れる尻尾が待てないよって訴えているし、みんな前のめりでお皿にくぎ付けだ。
「さ、みんな行き渡りましたね。それでは、みなさんご一緒に」
『いただきます!』
ワイワイとはしゃいで食べる子ども達は本当に可愛い。
ジャイル君にドゥーカ君は我先にと自分のお皿を空にすると、あっという間におかわりをお願いしに来ていてマロンさんはニコニコとおかわりをよそっている。
この二人は給食時にいつも反応が早く、食べるのも早い。
そしてお代わり必須の子達である。
その対極にいるのがファランちゃんだ。彼女はマンチカンの子猫。
手足も短く可愛らしいファランちゃんは小食でゆっくり食べる。
ネコ科でもそれぞれ違うし、同じ豹だったりしても食べる量や速度が同じとは限らない。
やはり、個体差が出るのが当たり前なのだとここに来てまた認識を深くした。
そして、楽しいしやりがいもあるけれど私はやっぱり羊族の村が好きだなと思う。