異世界もふもふ保育園へようこそ!

 小さな子たちはそろそろ毛刈りされてるかな。
 私が居なくて品質落ちたりしないかな? なんて心配になってしまう。

 そして私はここでも落ち人の特典であり、大切な好かれるスキルと超グルーミングスキルは発揮されて、王都の保育園でも子ども達の毛並みはツヤツヤのサラサラだった。

 食事を終えると、お昼寝する子や芝の上を走り回る子、近くの花壇を覗きに行く子と動きが読めない動きっぷりである。

 今は自由時間、のんびり思うままに過ごしていたら国王陛下がと王妃様が一緒に顔を出した。

 「ハルナ、みんな楽しんでいるか?」

 陛下の問いかけに、子ども達は嬉しそうに楽しいと答えた。

 そんな様子に満足そうに頷いている王妃さまも表情が優しいままだ。
 そんな王妃様を見ると、やっぱり私はそろそろ帰りたいなと優しいこの世界での母替わりのライラさんを思い出す。

 ここの職員であるマロンさんにキャロルさんとミューナさんはしっかりしているし、子どものお世話も的確で話の運びも上手い。

 この分なら私が抜けても大丈夫だと思いつつ、複雑な心境にかられるのだから人間ってつくづく自分勝手な生き物である。

 「王妃様のおかげでここでピクニックが出来たことに感謝いたします」

 そう告げるのは、心からであるということを感じてほしくて私は微笑んだ。

 ここでピクニックをすると許可を得たのは王妃様の庭園だからだけれど、まさか当日様子を見に来てくれるとは思わなかったから直に感謝を伝えられてホッとする。

 「私の庭が子ども達にも有意義に使われるのは良いことだわ。今は春の花が盛りですからね。色々見て沢山遊んで帰ると良いわ」

 「ありがとうございます、王妃様。子ども達も喜んでいます」

 王妃様は食べ終わってこの広い芝と花々が美しい庭園を走る子ども達を見つめて嬉しそうだ。

 「そうそう、二週間前に出発したレザントはしっかり仕事をこなしているみたいよ。王都を離れて少なくとも三か所見たことでいかに中央と差が開いているかを感じて、国民のため改善しなくてはならないと意気込んでるみたい」

 あの、ヤンキーっぽい王子様は案外真面目なのかもしれない。
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